最高人民法院知的財産権法廷裁判要旨要約(2021)におけるクレームの解釈、新規性進歩性の判断に係る裁判要旨

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最高人民法院知的財産権法廷は、技術類知的財産権と独占案件における司法理念、審理の考え方、及び裁判方法をまとめて説明するために、2021年に結審した3460件の案件から、48件の典型的事例を抽出し、55条の裁判要旨をまとめ、2月28日に公布した。ご参考まで、本稿で、その中のクレームの解釈と新規性進歩性の判断に係る 裁判要旨を抽出してまとめる。

クレームの解釈について

1.クレーム用語の解釈の合理性

【案号】(2019)最高法知行終61号

【裁判要旨】特許授権・権利確定に係る案件において、当業者が特許請求の範囲、明細書及び図面を読み込んでから理解した通常の意味により、クレームの用語を定義すべきである。その過程で、合理的な解釈を出発点と着点として、クレーム用語の意味の最大範囲を確定する。

2. 機械部品の数の範囲を限定する技術的特徴の新規性評価

【案号】(2021)最高法知行終349号

【裁判要旨】機械部品の数の範囲が自然数区間であり、尺度などの継続性がある物理量の数値範囲と区別されていることを限定する。機械部品の数の範囲を限定する技術的特徴が、原則として、一つの技術手段ではなく、並列の技術手段の集合であると見做されるべきである。引用文献にその中の一つ又は一部だけの数量が開示されている場合、当該引用文献には、当該技術的特徴に限定されたその他の並列技術手段が直接開示されていると認定できない。

3. クレームと明細書に既に明確に定義された技術的特徴の解釈

【案号】(2020)最高法知民終1742号

【裁判要旨】クレームと明細書に既に明確に定義された技術的特徴について、その定義された明確な意味を逸脱して解釈することにより、特許権の保護範囲を不適当に拡大してはならない。

4. 使用環境の特徴の認定

【案号】(2020)最高法知民終313号

【裁判要旨】使用環境の特徴が、クレームにおける発明創造の使用背景又は条件を記述する技術的特徴であるが、保護対象の取付位置又は連接構造などに係る技術的特徴に限らない。特定な状況では、保護対象の用途、適用対象、使用方式などに係る技術的特徴も含まれる。

5. 複数の使用環境が存在場合の機能性特徴の内容の認定

【案号】(2019)最高法知民終409号

【裁判要旨】特許技術案に複数の使用環境が存在する場合、明細書に記載の具体的な実施形態を結び付けて機能性特徴の内容を確定する際に、当業者の視点から、具体的な実施形態における、当該機能性特徴に限定された機能又は効果を実現するために欠けられない技術的特徴と、使用環境が異なることにより生み出された適応性技術的特徴とを区別すべきである。適応性技術的特徴は、通常、機能性特徴の内容に属しない。

6.実用新案における機能性特徴の内容の認定

【案号】(2021)最高法知民終411号

【裁判要旨】実用新案において、明細書及び図面に記載された、機能性特徴に限定された機能又は効果を実現するために欠けられない形状構造の特徴と非形状構造の特徴は全て、当該機能性特徴に対して実質的な限定作用があり、機能性特徴の内容に属する。よって、特許権侵害判定の際に、考慮すべきである。

新規性、進歩性の判断について

1.新規性単独対比原則

【案号】(2021)最高法知行終83号

【裁判要旨】当業者が一つの先行技術文献を全体的に読解した後、「当該文献に記載の異なる部分の技術内容の間に、同一の技術案に属する論理関係が存在する」ことを直接且つ疑問なく確定できる場合、当該異なる部分の技術内容から共同で構成された技術案を新規性判断の対比対象とすることは、単独対比原則に違反しない。

2.同一の先行技術文献に矛盾する記載がある場合の開示内容の認定

【案号】(2021)最高法知行終83号

【裁判要旨】同一の先行技術文献に記載の特定の技術案の内容と、それに記載のその他の関連する内容とが矛盾しており、当業者が文献を完全に読み込んだ後、公知技術を結び付けたとしても合理的に解釈できない、若しくはその正誤を判断できない場合、当該先行技術文献に上記特定の技術案が開示されていないと認定することができる。

3.進歩性判断における協働関係のある区別技術的特徴に対する考慮

【案号】(2020)最高法知行終155号

【裁判要旨】進歩性判断において、緊密に関連し、互いに依存し合い、協働作用があり、共同で同一の技術課題を解決し、関連する技術的効果を実現できる区別技術的特徴について、それぞれ分けて評価してはならず、全体として考慮すべきである。

4.既存の化合物薬用発明の進歩性判断

【案号】(2020)最高法知行終558号

【裁判要旨】既存製品の用途の発明において、当該製品の用途が製品自体の既存の活性性質及び既存用途から自明的に得られるか否かは、進歩性判断のポイントとなる。当該既存製品の用途の発明は、先行技術の一般化の用途から一つの適応症を選択された、しかも予測できない技術的効果が実現できない場合、進歩性を有していないと認定する。

5.化合物組合製品のクレームにおける用途の限定が進歩性判断に対する影響

【案号】(2020)最高法知行終286号

【裁判要旨】化合物組合製品のクレームにおける用途の限定が、通常、化合物組合の組成、配合率、理化性質などに影響を与えない、或いは変えることができないため、化合物組合製品のクレームの進歩性を判断する際に、原則として、用途の限定を考慮する必要がない。

6.実用新案の進歩性判断における非形状構造の特徴に対する考え方

【案号】(2021)最高法知行終621号

【裁判要旨】実用新案権の保護対象が形状、構造又はそれらの組合せから構成された技術案である。クレームにおける非形状構造の特徴は、製品の形状、構造又はそれらの組合せに影響がなければ、通常、当該クレームの進歩性に貢献がないと考えられる。

7.進歩性判断の直接的証拠と「三ステップ法」との関係

【案号】(2021)最高法知行終119号

【裁判要旨】特許進歩性判断で広く使われている「三ステップ法」は普遍性のある論理的推論方法である。一方、長期的な技術課題を解決し、技術偏見を克服し、予測できない技術的効果を実現でき、ビジネス上の成功を得るなどの直接的証拠に基づいて、進歩性を判断する方法は、経験推論方法である。この両者とも、進歩性判断に用いられる分析ツールである。「三ステップ法」で判断した結論は技術案が進歩性を有することである場合、一般的に、進歩性に関わる直接的証拠を再審査するる必要がない。「三ステップ法」で判断した結論は技術案が進歩性を有していないことである場合、進歩性に関わる直接的証拠を審査し、また進歩性の直接的証拠に基づいた経験推定結論により「三ステップ法」分析を再検証し、論理推論と経験推定の両方の結論を総合的に考慮して判断すべきである。

8.進歩性判断における予測できない技術的効果に対する考え方

【案号】(2021)最高法知行終119号

【裁判要旨】予測できない技術的効果に基づいて進歩性を判断する際に、特許権者が当該予測できない技術的効果が存在することとその出所が関連する区別技術的特徴であることに対して、挙証責任を負うべきである。当該予測できない技術的効果が、技術案の実際に解決しようとする技術課題の改善目標に十分になるべきである。ある技術案が技術課題を解決するための必然的な選択である場合、関連する技術的効果が、予測できないとしても、当業者の必然的な選択の「副産物」だけであるため、これだけにより当該技術案が進歩性を有することを十分に証明できない。

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