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7 February 2024

新専利法実施細則における優先権の回復、追加・修正、及び追加援引に関する内容のまとめ

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Kangxin

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国務院総理の李強氏は国務院令第769号に調印し、2023年12月21日に改正された「中華人民共和国専利法施行細則」(以下、「新実施細則」)を公表&
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国務院総理の李強氏は国務院令第769号に調印し、2023年12月21日に改正された「中華人民共和国専利法施行細則」(以下、「新実施細則」)を公表した。そのうち、 4四回目の改正専利法に合わせた実施細則の関連規定も修正された。

本稿では、「優先権期間の回復、優先権の追加と修正」および「追加援引(援引加入)」に関わる関連規定を中心に紹介する。

1.優先権期間の回復、優先権の追加と修正について

出願人に有利な原則の貫徹のため、改正専利法実施細則には第 36 条が追加された。即ち、「専利法第 29 条に規定する期限を過ぎたが、出願人が正当な理由をもって、国務院専利行政部門に同一の主題について発明又は実用新案専利を出願する場合、期間の満了日から 2ヶ月以内に、優先権の回復を請求することができる。」 1

また、新実施細則には、第37条の「発明又は実用新案専利の出願人は優先権を主張した場合、優先日から 16 ヶ月以内又は出願日から 4 ヶ月以内に、願書において優先権主張の追加又は修正を請求することができる。」 2が追加された。

さらに、中国国内段階に移行するPCT 出願を合わせるために、新実施細則には第 128 条が追加された。即ち、「国際出願日が優先権期間の満了日から 2ヶ月以内である国際出願について、国際段階において受理局が優先権の回復を認めた場合、本細則第36条の規定に基づく優先権の回復請求を行ったとみなす。出願人が国際段階において優先権の回復を請求しなかったか、又は、優先権の回復を請求したが、受理局に認められなかった場合、出願人は正当な理由があれば、移行日から 2 ヶ月以内に国務院専利行政部門に優先権の回復を請求することができる。」 3

上記の規定には、特許出願の実際の運用において、パリ条約を通じて提出された特許出願に対して優先権の回復、追加と修正を請求できる状況及び関連期限が明確に規定されている。また、中国国内段階に移行するPCT出願に対して優先権の回復を請求できる状況及び関連期限も明確に規定されている。

これらの規定の追加は、出願人にとって間違いなく大きなメリットである。第一に、出願人はパリ条約を通じて中国で提出した特許出願の優先権を回復、追加、修正することが可能になる。第二に、我国は受理官庁として PCT 国際出願の「優先権回復」を常に受け入れていたが、指定官庁または選定官庁として中国国内段階に移行する PCT 出願の「優先権回復」を留保しなくなる。これにより、PCT 出願の出願人は中国国内段階に移行する際に優先権を回復することが可能になる。

ここで、注意すべきことは、優先権の回復、優先権の追加・修正の請求を提出する出願人は、関連する時間要件、書類要件、および手数料要件を厳密に遵守する必要がある。

2.追加援引(援引加入)について

同様に、出願人に有利な原則の貫徹のため、改正専利法実施細則には第 45 条が追加された。即ち、「発明又は実用新案出願には、特許請求の範囲や明細書、又は、特許請求の範囲や明細書の一部の欠落や誤提出がありながら、出願人が提出日に優先権を主張した場合、提出日から 2 ヶ月以内又は国務院専利行政部門が指定した期間内に、基礎出願書類の参照として追加提出することができる。追加提出した書類が関連規定に合致した場合、最初の提出日を出願日とする。」 4

上記の新条項は、特許協力条約の関連規定とも関連しており、パリ条約を通じて提出される中国の一般特許出願の手続きにおける「追加援引」の条項の導入も出願人にとって大きなメリットであり、次の状況に該当する特許出願に対して、救済措置を提供している。

即ち、優先権を主張した後行の中国特許出願を提出した際に、出願書類の事項(特許請求の範囲全体または明細書全体を指す)または一部(請求項の一部または明細書の一部、あるいは明細書図面の全部または一部を指す)は欠落された場合、出願人は、優先権を主張する先行の特許出願書類の内容に基づいて、後行の特許出願書類に欠落している事項又は部分を追加提出することができる。

「追加援引」は特許出願書類の欠落部分を補足する手段の一つである。特許出願の際に明細書、特許請求の範囲、図面、またはこれらの事項の一部が欠落し、その特許出願が優先権の主張があり、しかもこれらの欠落された事項または部分が優先権を主張した先行の出願に含まれている場合、例えば、PCT細則 4.18 または国家法により、出願人は、出願日が変更されずに、指定された期間内に援引により欠落された事項または部分を当該特許出願に追加することができる。

PCT 条約は 1994 年 1 月 1 日から中国で発効した。その前、我国は受理局として PCT 国際出願の「追加援引」を受け入れていたが、指定局または選定局として我国は、PCT 出願の中国国内段階への移行について、保留していた。

新実施細則の第45条に対応して、PCT国際出願段階において、出願書類のある項目又はその一部が欠落した場合、出願人は当該PCT出願の国際出願段階で提出した追加援引請求に基づいて、中国国内段階へ移行する際に、PCT出願が国内段階に移行後、保留しなくなる「追加援引」手続きにより欠落された項目又は部分を出願書類に追加することができる。これにより、該当出願が、出願書類の項目または一部が欠落されたことによる不十分な開示などの実質的な瑕疵による拒絶を回避することができる。

総じて言えば、新実施細則の追加条項によると、以前に指定局または選定局としての中国が国内段階に入るPCT国際出願に対して留保していた「優先権猶予期間」の関連規定を保留しなくなる。また、PCT が中国国内段階に移行する場合の「追加援引」に関する関連規定については保留しなくなる。

これに対応して、出願人は追加援引請求を提出する際の関連書類の提出期限も厳守する必要があり、即ち、提出日から 2 ヶ月以内に優先権書類を援引することにより追加提出することもできるし、庁から受領した通知書に定められた期限内に追加提出することもできる。期限内に提出しなかった場合、出願人は優先権書類を援引することにより欠落された出願書類の項目又は部分を追加提出する機会を失うことになる。

Footnotes

1.「専利法実施細則」第36条

2.「専利法実施細則」第37条

3.「専利法実施細則」第128条

4.「専利法実施細則」第45条

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