商標権侵害民事事件において、証拠の収集と固定は勝訴の鍵となる。
また、商標権侵害民事事件において、権利者が商標懲罰的賠償に関わる条項[1]をもって高い賠償金を取得することができる。この場合、証拠の収集と固定は更に重要になる。
更に、侵害者が何時でも侵害証拠を隠滅、又は侵害リンクを削除する可能性あるので、証拠を収集するタイミングは非常に重要である。
本稿では、筆者は実務の経験に基づいて、商標権侵害事件においてより高い賠償金を取得するための重要な証拠種類と証拠収集・固定の方法について検討する。
裁判所に高い賠償金の主張を支持させるために、権利者は、主に権利者及びその商標の知名度に関わる証拠、被告の悪意及び侵害情状の深刻さに関わる証拠を収集する必要がある。
権利者の知名度に関わる証拠について
権利者の生産経営の状況、関連商品の販売量、市場シェア及び占有率に関わる資料を収集・整理する。
その中、生産経営の状況は、主に商標登録の状況(商標標識、類別、指定商品)、商標ライセンスの状況(商標ライセンス契約登録、屋号の使用確認書など)、会社紹介などの証拠を含む。
関連商品の販売量に関わる証拠は、主に会計された売上、関連業務の売上、納付した所得税などを含む。
市場シェアと占有率について、業界内で認められた評価機構(例えば、中国全国商業情報センタ市場監督評価部の統計データ又は有名で信頼できる企業)が発表した統計データから裁判所に認められるデータを取得することが考えられる。
被告の侵害行為に関わる証拠について
先ず、インターネット又は現場における調査を行い、被疑侵害者の経営モデル、被疑侵害製品の在庫状況、販売ルートなどを把握する。そして、提訴に先立って、公証認証又はタイムスタンプにより証拠を固定する。
案件の状況により、下記の公証認証の事項を選択できる。被疑侵害者のHP及びその他宣伝・販売ウェイブサイト、ECサイトにおける商標使用状況及び関連製品の販売状況、オンライン又はオフラインにおける製品の公証購買、現場における公証認証など。
ここで注意すべきことは、公証認証を行う際に、主体の関連性に注目する必要がある。即ち、公証認証される対象(EC店舗など)と被疑侵害者(被告)とが関連している又は同一の主体に関連していることを確認することである。
また、より高い賠償金を取得するために、現場の公証認証で、会社規模が大きな被疑侵害者に加盟を申請することにより、加盟の費用や数などの相手の侵害による利益額を確認するための情報を取得することが考えられる。
被告の悪意に関わる証拠について
先ず、インターネットと現場における調査を行う。インターネット調査では、主に被疑侵害者が商標を抜け駆け登録して高価格で売却する行為の有無を調査する。現場調査では、相手が既に無効された、又は登録されていない商標と同一又は類似する商標を引き続き使用していることの有無を調査する。
知的財産権保護が全世界の企業が直面している課題となっている現在は、商標保護が自社ブランドを保護するための極めて重要な一環であると思われる。
侵害者の侵害行為が頻度高く長期間続いた場合、権利者は自社権利を保護するとともになるべく高い賠償金を取得するために、定期的に調査し、適時に法的措置を取ることを提案する。
[1] 「商標法」第六十三条第1項 商標専用権侵害の損害賠償額は、権利者が侵害により受けた実際の損失により確定する。実際の損失を確定することが困難な場合には、侵害者の侵害による利益により確定することができる。権利者の損失または侵害者が得た利益を確定することが困難な場合には、その商標の使用許諾料の倍数を参照して合理的に確定する。悪意による商標専用権侵害行為で情状が重大な場合、上述の方法により確定した金額の 1 倍以上 5 倍以下で賠償額を確定することができる。賠償金額には、権利者が侵害行為を抑止するために支払った合理的な支出を含まなければならない。
「商標法」第六十三条第3項 権利者が侵害により受けた実際の損失、侵害者が侵害により得た利益、登録商標の使用許諾料を確定することが困難な場合には、人民法院は侵害行為の情状に応じて 500 万元以下の賠償金の支払いを判決する。
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