連邦法によって営業秘密が保護される日は近い? 2015年営業秘密保護法について知っておくべき重要なポイント

アメリカ連邦議会では、営業秘密の侵害について連邦裁判所に対する民事訴訟の提起を可能にする2015年営業秘密保護法(Defend Trade Secrets Act of 2015)の審議が下院と上院で再び始まっています。営業秘密は、知的財産権の中では「異端児」といえます。特許権、著作権、商標権といった一般的な権利については、全て連邦裁判所に訴えることができますが、営業秘密については、刑事事件は連邦法の審理対象となるものの、民事事件は連邦裁判所での審理対象ではありません。(民事事件については、ほとんどの州が採択している統一営業秘密法(Uniform Trade Secrets Act)に基づき、州裁判所での審理対象となっています。)しかし、2015年営業秘密保護法が法案どおりに成立すれば、民事事件についても連邦裁判所での審理対象となるだけでなく、次のようなインパクトがあります。

  • 一方当事者の申立てにのみ基づき、営業秘密侵害の拡大を防止するために必要な財産の差押え(Ex Parte Seizure)が可能になる
  • 「故意又は悪意」による営業秘密の侵害に対しては、実損額の3倍の懲罰的損害賠償(Exemplary Damages)が命じられることがある(統一営業秘密法では2倍)
  • 時効期間は5年になる(統一営業秘密法では3年)

このように、2015年営業秘密保護法は営業秘密の保有者を厚く保護する内容となっていることから、法案が成立した場合には、連邦裁判所に対する訴訟提起の増加が予想され、米国で事業を行う企業にとって実務上重大な影響があると考えられます。したがって、法案の内容を予め理解しておくことが米国で事業を行う日本企業にとっても重要であると考え、ここにご紹介する次第です。

記事では、法案の内容、統一営業秘密法との比較、2015年営業秘密保護法が成立した場合に与えるであろうインパクト等について説明しています。

詳細は、Jones Day White Paper "Are Federally Protected Trade Secrets on the Horizon? Key Things to Know about the Defend Trade Secrets Act of 2015" (オリジナル(英語)版)をご参照ください。

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